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トロムソの夏至祭の日

 北欧といえば「夏至祭」で有名かと思います。北極圏以外では極夜にはならずとも、暗く長い冬が続く北欧諸国では、明るく暖かい夏の到来を人々は待ちわびています。夏至は、そんな夏のスタートとも考えられている日であり、人々は外に出てそれを盛大に祝います。
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 北欧の夏至祭は、スウェーデンやフィンランドの賑やかなお祭りが日本でも知られていますが、ノルウェーはどうでしょうか?ネットでは、オスロやベルゲンの夏至祭の様子がいくつか見られますが、今日はトロムソの様子を紹介します。

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 「夏至」は、天文学的には太陽黄経が90度を通過するとき(またそれが含まれる日)であり、2016年はノルウェー時間では6月21日0:34にあたります(6/22記事参照)。夏至祭はこの夏至の前後で行われ、スウェーデンやフィンランドでは夏至に最も近い土曜日(今年は6月25日)で、その日は重要な祝日となっているそうです(つまり移動祝祭日です)。
 一方ノルウェーでは、"Sankthansaften(聖ハンスの夜)"あるいは"Jonsok-kveld(Midsummernight Eve/真夏の夜)"と呼ばれる6月23日の夜に毎年夏至祭を行いますが、祝日ではありません(キリスト教では24日が洗礼者ヨハネ(省略形ハンス)の生誕の日とされており、その前夜のお祭りに相当します)。
 大学にも皆普通に出勤していたので、ノルウェーではそれほど大きなイベントではないのかなと感じました。でも、1771年まではノルウェーでも祝日だったそうで、今でもこの二日間を含めて休暇を取る人も多いのだとか。

 夏至祭の前日に大家さんのG.M.(ノルウェー人)にお会いしたので、トロムソでの夏至祭の様子を聞いたのですが、「ノルウェー南部では賑やかにお祭りをするけれど、北部はそうでもないわね」とのこと。でも、人々は海岸に集まって火を焚くそうなので、見に行ってみると良いと教えてもらいました。

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 そこで早めに夕食を済ませて、トロムス島の南端にある海岸"Telegrafbukta"まで行ってみました。時刻は19:30ぐらい。
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 砂浜には家族連れが沢山集まってきていて、それぞれ近くで火を起こしたり、グリルを持ち込んでバーベキューをやったりしています。ノルウェーでも地方によっては、この日はお祝いとして巨大なかがり火を焚き、ブーナッドを着て、音楽やダンスや料理と共に盛大にお祭りをやるそうなのですが、ここにはそういう人はいないようです(というか、夏なのに肌寒い日が続くトロムソなので、夏らしい格好の人は皆無)。
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 トロムソでは「祭」という雰囲気ではないですね。家族と一緒に火を囲み、思い思いにこの明るい夏の夜のひと時を過ごす日のようです。これはこれで、人々が夏の到来を静かに楽しみ、喜んでいるのが感じられて、良い感じでした。
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 この海岸で大きな焚火をやっている人はいませんが、海の向こうに見える隣の島のあちらこちらから煙が上がっています。今夜は、一晩中焚火のそばで過ごす人もいるそうです。また、南部の街Ålesund(オーレスン)では、世界最大のかがり火が焚かれるそうです(例えばこちら)。
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 今日は、直前まで雨模様のあいにくの天気でしたが、雲間から日が差し込んできれいです。
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 我々も岩場に腰かけて、持ってきた手作りドーナツを食べ、静かにトロムソの夏至の夜を味わいました。
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 外でバーベキューをするのが大好きなノルウェー人。G.M.からは「グリルとソーセージを持っていくと良いわよ」と言われたのですが、この時期のスーパーには、"Engangsgrill"と呼ばれる使い捨てのグリルが大量に置かれています。1.5時間燃焼し、価格はわずか15NOK(225円)。公園などには(ここの海岸にも)、Engangsgrill専用のゴミ箱というのが設置されています。
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 これでソーセージ(pølse)や肉を焼いて、一緒に焼いたパンに挟んで食べるのが定番で、こちらもスーパーで大量に売られています。
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by tac_sato | 2016-06-24 20:36 | 行事・イベント | Comments(2)  

Commented by kiki at 2016-06-24 22:22 x
白夜、いつまでも明るく初めての体験で本当に不思議でした。
頭の上を太陽がぐるっと1周まわっているなんて日本では体験できないので。
ノルウェー人はBBQ好きなようですね。私達はキャンプサイトに宿泊していたのですがどこでも立派なBBQ小屋がありました。
勿論、お天気が良かったので小屋は使用しませんでしたが、天気が悪かったり、強風、寒さなどを想定してBBQ小屋が完備してあるようでした。
使い捨てのグリル、ちょっと思い立った時には手軽で便利ですね。
Commented by tac_sato at 2016-06-24 22:56
> kikiさん
 北極圏の人には毎年のことなので、もう普通のことだと思いますが、日本人には白夜も極夜も大変興味深いです。この自然、そしてそこで育まれた文化をできるだけ知りたいと思っています。
 「使い捨てのグリル」は面白そうなので、一度買って試してみたいです。
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